第287話アンナを失う

社内では、グレイスが泣いていた。頬を伝って涙が止めどなく落ちていく。

「ウィリアム、アンナが出ていったの。設計部は私に任せるって、それだけ言って……何も残さずに行っちゃった」

「ウィリアム、追いかけて。顔色がひどくて――本当に、何かしてしまうんじゃないかって心配なの」

そう言ううちに、ウィリアムの胸を満たしていた最初の動揺は、すっと引いていった。

彼はゆっくりと車椅子を動かし、グレイスの正面で止める。声には一片の感情も滲まなかった。「何があった。全部だ。細部まで」

グレイスは涙を拭い、語りはじめた。「メーガンが言ったの。アンナがわざとメーガンの両親を陥れて、子どものことに関わる何かの...

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